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[上海万博研修報告書]

設立の趣旨


 ロジテック部会は、露地樹木の生産技術及び品質の向上と掘り取り梱包の省力化などを通じ、業界の活性化を図るため、露地樹木の生産合理化のための調査、研究を行なう専門部会です。
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沿  革

1993年8月 露地樹木生産研究会の設立総会を開催
1995年9月 ロジテック部会に改組
        設立時の会員数は128名、現在は45名
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主な事業


1.地中容器栽培樹木の生産量調査の実施
2.地中容器栽培樹木の試験の実施
3.地中容器栽培樹木生産に関する諸規格基準の検討、作成
4.高付加価値な露地樹木の生産技術の開発
5.現地視察研修会の実施
6.露地樹木生産研究会だよりの発行
7.「地中容器栽培樹木検討委員会(都市緑化技術開発機構、建設省都市局公園緑地課、住宅・都市整備公団、日本道路公団、環境事業団、日本緑化センター他で構成)」の調査、試 験事業の実施(地中容器栽培樹木に関する調査報告書を作成)

【注】地中容器栽培樹木の根廻し効果や移植当年の活着度、移植後の生育状況の詳細データにつきましては、地中容器栽培樹木検討委員会が作成した『地中容器栽培樹木に関する調査報告書』をご参照下さい。
春夏秋冬、都市に緑を創出するロジテック

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季節を選ばないロジテック
  コンクリートに覆われた都市空間は、植物にとって決して好ましい生育環境とは言えません。その土地の気候風土や季節を無視した不自然な植栽は、植物に余計なストレスを与え、枯死の原因となっています。
日本植木協会ロジテック部会は、都市に身近な自然環境を創出させるために、露地樹木の生産技術及び品質の向上と掘り取り梱包の省力化などを進め、都市緑化をより円滑に推進できるよう、露地樹木の生産合理化のための調査、研究を行なってきました。

「ロジテック」のネーミングは、露地樹木の「ロジ」と栽培技術の「テクノロジー」を合体させたものです。
 緑化樹木は、一般に露地栽培と容器栽培に大別されますが、今、注目を集めているのが、生長の著しい露地栽培と季節を選ばずに移植可能な容器栽培のそれぞれの特徴を兼ね備えた「地中容器」による栽培樹木です。

ロジテックが取組む地中容器栽培樹木
 地中容器とは、不織布などを素材とする地中埋込型の栽培容器のことで、土中で根が容器の外へ伸長するタイプとそうでないものがあります。一般に高木類には、根が外へ出るタイプの容器を使用しています。
根が外へ出る場合のメカニズムを説明すると、容器側壁に達した根は細く絞り込まれるようにして、外側へ抜け出した後、再び生長します。土中の養分は外に出た根を通じて樹木に吸収され、容器内には豊富なでんぷん質が貯えられます。このため、容器内には十分な根量が確保され、移植後はただちに根の伸長が始まります。
活着率が高く、過度の剪定を必要としない
 ロジテック部会は、露地樹木の生産技術及び品質の向上と掘り取り梱包の省力化などを通じ、業界の活性化を図るため、露地樹木の生産合理化のための調査、研究を行なう専門部会です。このように地中容器により栽培される樹木は移植後の良好な活着が期待でき、地上部の生長量、活力度も高いため、過度の剪定を必要とせず、移植直後であっても自然樹形を維持し、都市空間の構成要素として周囲に違和感を与えないという特徴があります。またイベントや仮設緑化用として不適期に行われる植栽においても、春夏秋冬、ニーズに応じた供給が可能になります

 ロジテック部会は、都市に生きる樹木の生育環境を考え、街並みに彩りを添える緑がいつまでも美しい表情をみせてくれるよう、地中容器をはじめとする緑化樹木の栽培形態の研究、普及活動を進めています。地中容器栽培樹木の根廻し効果や移植当年の活着度、移植後の生育状況を観察した調査報告書を作成し、リサイクルを目的とした不織布の土中への自然分解という新しい素材の開発にも取組んでいます。
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地中容器栽培樹木のメカニズム


【写真1】生産圃場での栽培樹木

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 地中容器とは、不織布などを素材とする地中埋込型の栽培容器のことです。不織布の厚さと布地の密度によって、土中で根が容器の外へ伸長するタイプとそうでないものがあります。【写真1・2】は生産圃場での地中容器による栽培樹木です。
【写真2】栽培樹木

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 一般に高木類には、根が外へ出るタイプの容器を使用している場合が多く、用土は、その生産圃場の土をそのまま使っています。【写真3】は地中容器を堀り上げたところです。

【写真3】地中容器を堀り上げたところ


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 根が外へ出る地中容器の場合、容器側壁に達した根は細く絞り込まれるようにして、外側へ抜け出した後、再び生長します。つまり容器の壁を境に両側が極端に太くなり、不織布そのものは水分を通し【写真4】、土中の養分は外に出た根を通じて樹木に吸収されます。
【写真4】出荷前の地中容器栽培樹木

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地中容器内側のコブ状の部分はカルスと呼ばれ、でんぷん質を豊富に貯えています。【写真5】は、容器の内側と外側に展開している根系の状況で、外の根は樹木を支える支持根の役割も果たしています。
【写真5】陽気の内(下)と外(上)の
 根系の状況


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◆特別オーダー◆
 多様なニーズに応えるため、地中容器は大径木の移植など、特殊な条件下で行われる植栽にも対応可能です。この樹木を施工現場で植栽する時、結果として容器外側の根はすべて取り除かれます。

【写真6】地中容器の土を取り除いたところ


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しかし【写真6】の容器内には十分な根量が確保され、さらに植栽直後からカルスの部分より根の伸長が始まるため、移植当年における良好な活着が期待できます。【写真7】は施工現場での植栽風景で、【写真8】は地中容器を使った植栽後の樹木です。
【写真7】現場での植栽風景

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【写真8】地中容器を使った植栽後の樹木

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部会員の生産品を写真にてご紹介します。

三和物産(株)(鹿児島県)


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スダジイ(シイノキ)
(H3.5、C0.18、W1.00)
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レッドロビン(セイヨウカナメ類)(H1.5)
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クスノキ(H10.0、C1.00、W4.00)
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クスノキ(H6.0、C0.70、W2.50)
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マテバシイ(H3.5、C0.18、W1.00)
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タブノキ(H2.0、W0.50)
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アラカシ(H4.0、C0.20、W1.00)
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クロガネモチ(H3.0、C0.15、W0.80)
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ホルトノキ(H1.8、W0.50)
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ナンキンハゼ(H3.5、C0.20、W1.20)
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ヤマモモ(H3.0、C0.20、W0.80)
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ヤブツバキ(H3.0、W1.00)
(有)和田園芸(鹿児島県)


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シマトネリコ(株立)(H1.5〜3.0)
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ヒメシャラ(単木)(H2.0〜3.0)
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ヒイラギナンテン(株立)(H0.3〜0.8)
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フイリマサキ(H1.0〜1.5)
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黄花イペー(H1.8〜2.5)
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ネズミモチ(トリカラー)(H1.4〜1.8)
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ヒゼンマユミ(単木)(H1.2〜3.0)
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フェイジョア(H1.8〜2.0)
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オウゴンマサキ(H1.2〜1.5)
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ヒメシャリンバイ(H1.2〜1.4)
生分解不織布を使用した樹木生産について

神代公治((株)筑紫植物園、福岡県)


 平成17年10月5日ロジテック部会の総会が福岡県で開催され、その際に福岡県内の圃場2ヶ所及び全国都市緑化フェア(アイランド花どんたく)会場の視察が行われた。
ロジテック部会では平成12年3月より生分解性不織布を使用した地中容器による樹木栽培試験を実施し、その結果は平成15年10月「生分解性容器試験・試験報告書」としてまとめられ、全協会員に配布されたのでご記憶の方も多いと思う。現在、部会員を中心として生分解性地中容器を使用した樹木の生産量は年々増加している。また、今年の緑化フェア会場には根回し時に生分解性不織布を使用して根巻き養生した大径木が多数植栽されている。
以下、これらの点について写真を使って説明する。

(1)生産圃場関係


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1、イロハモミジ 生分解性地中容器で生産
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2、シラカシ 生分解性地中容器で生産
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3、柑橘類掘り上げ後、生分解性不織布シ−トで根巻きして仮植養生中
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4、柑橘類発根状態 
(2)緑化フェア関係


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1、緑化フェア会場風景
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2、柑橘類活着状態
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3、大径木出荷時状態(生分解性不織布シ−トで根巻き養生)

写真提供:(有)フジグリーン
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4、タブノキ大径木活着状態
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5、ヤマモモ大径木活着状態
 緑化フェア会場には多数の大径木が植栽されているが、この会場に今年納入された樹木の特色は、圃場で根切り後、生分解性不織布シ−トで根巻き養生された大径木が(有)フジグリ−ンによって多数納入されたことである。今年の福岡地方は春から降雨量が異常に少なく、7〜8月という夏季・乾燥時に出荷植栽されたにもかかわらず写真でもわかるように活着は良好である。この方法は根回し後発生した細根が生分解性不織布シ−トの中に多数存在し、かつ発生した細根を出荷の際にほとんど切らずにすむという利点があり 「林試移植法 」の改良型と考えて良いと思う。(しかし圃場での水管理は大変である)


(有)フジグリ−ン大径木リスト


樹種名本数
クスノキ5.00.62.0

58

クスノキ
0.8〜0.9

20

クロガネモチ
0.6

1

クロガネモチ
0.8〜0.9

10

タブノキ
0.6

17

タブノキ
0.8〜0.9

31

ヤマモモ4.50.51.5

65

ヤマモモ
0.6

5

ヤマモモ
0.8〜0.9

19


末筆ながら、写真・資料を提供いただいた(有)フジグリ−ンはじめ関係各位に御礼を申し上げます。


生分解性容器を使ってみて


杉村 義剛(三角屋みかど園、愛知県)


 私がこの容器を利用し始めたのは今から7〜8年前になります。始めの頃はいろんな失敗をし、その後、試行錯誤を繰り返しながら栽培をしてきましたが、ロジテック部会での公的機関での試験栽培と我が家での試験栽培などを経験し現在に至っています。

 私がこの生分解性容器にこだわって栽培を進めている理由は、
植木を生産し販売するのに根鉢も自然に還元が出来る。
移植時にそのまま次の段階に進むことができる。
ユーザーに喜んで使ってもらえる。
産業廃棄物がより少なくなり環境に優しい。
 以上のことから、今後もこの容器栽培樹木を増やして行く予定です。又、ロジテック部会が作成した生分解性容器の専用ラベルのおかげで従来の不織布容器とのすみ分けが出来る様になったので間違いがなくなり且つユーザーに喜ばれています。
 生分解性容器の使用状況の一部を写真でご紹介します。


*三角屋みかど園(愛知県)
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*(有)永緑園(愛知県)
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*(有)田宮園芸(鳥取県)
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